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那カ古樹青餅2014年プーアル茶 その2

na ka gu shu qing bing

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

■収茶
西双版納の気候は、
11月から3月までが雨の少ない乾季です。
4月から10月までが雨の多い雨季です。
春の旬は3月から4月。ちょうど乾季から雨季に変わる時期です。暦(こよみ)の上では清明節(2014年の清明節は4月5日)がその節目ですが、実際のところ3月中旬から少しずつ気温が上がってきて、雲が増えて、雨の降る日があります。
早春の溌剌とした風味は、涼しくて水分が少ないために小さく育つ新芽・若葉に宿ります。また、雨に濡れた茶葉では製茶がうまくできません。

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

茶商が晒青毛茶を仕入れるのを「収茶」と呼びますが、春の旬の収茶は天候の変化を見た判断が茶の品質を左右します。気温が上がって雨が降って茶葉の育ちに勢いがつくと、明らかに新芽が大きく育ちます。雨の季節に入るとなおさらです。明るい色の新芽は見た目が良いので、廉価な量産の高級茶に使用されますが、本当の高級茶は貧相なくらいに新芽が小さく、溌剌とした風味があるのです。
2014年の春は3月21日から23日にかけて珍しくまとまった雨が降りました。
茶山によってこの影響はぞれぞれです。
那卡山は比較的海抜が高いことと、古茶樹は発芽が10日間ほど芽の出るのが遅れることで、3月16日頃からやっと茶摘みがはじまったところなので、まだ芽の出ていない茶樹が多く、品質に係る影響は限定的でした。強いて言えば、雨のために半乾きになった晒青毛茶を避けることが重要です。

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

初めて訪問する茶山でこうした個別の事情を知るのは難しいことです。いろんな人の異なる意見を聞きながら、リスクを避けるために小さく仕事をすすめながら、2年か3年かけて実態を掴んでゆくのですが、那卡山は歴史のないがゆえに単純なことと、若いラフ族の優秀な製茶農家と出会えたために、過去になくスムーズに実態が見えてきました。

那カ古樹青餅2014年プーアル茶
左: 那卡山の古茶樹
右: 偽物

今年のお茶はもともと仕入れるつもりはなくて、来年から当店の思うように「采茶」・「萎凋」・「殺青」・「揉捻」・「軽発酵」・「晒干」を調整してもらおうと考えていましたが、その話をしたら、「ちょっと近いのがある」と製茶農家が言い出しました。聞くと、広東の茶商がオーダーしたようです。

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

試作品なので少量でしたが、ちょっと多めにつくったので売ってもよいという話になりました。
これまで見てきた那卡山の晒青毛茶とは明らかに違います。
念の為に農家がいつもどおりにつくっている「火入れ強めの」のと、試作品の「火入弱め」のとを比べてみました。

那カ古樹青餅2014年プーアル茶
那卡山の古茶樹 火入れ強め

那カ古樹青餅2014年プーアル茶
那卡山の古茶樹 火入れ弱め

農家から言わせると、火入れ弱めのは香りが立たず、味に濁りがあるから売れないだろうと心配らしいのですが、当店から言わせると、火入れ弱目のほうが長期熟成の魅力が増します。
少量を買い取って、これを餅茶にすることにしました。

■圧餅
那卡山は孟海県なので、孟海県の茶廠で圧餅されるのが一般的です。
しかし、孟海県の茶廠は大量生産が多いため、圧延後の乾燥は乾燥室での熱風乾燥です。熱風乾燥にも技術の差があるのですが、当店はなるべく自然乾燥の涼干(陰干し)晒干(天日干し)にしたいと思うので、孟臘県漫撒山の小さな工房で餅茶にします。
太陽で餅面を焼いて焦がすと、出来たての時は香りがちょっと野暮ったくなったように感じますが、このほうが長期保存に良く、さらに、まだはっきりと解明できていない第三の効果があると考えています。

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

西双版納でお茶づくりに携わる人々は、お茶を知らない人たちです。自分たちのつくるお茶を飲むことすらありません。お茶を飲む文化は都市で栄えたもので、辺境地では栄養補給のための飲料でしかないのです。
ただ、職人には職人の眼があります。
那卡山の晒青毛茶を漫撒山で圧延するのは珍しいことです。職人たちは見た目や手の感触や香りから、この晒青毛茶を高く評価していました。

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

全体的に灰色っぽく見える那卡山の茶葉は、早春ほど黒っぽく変色する易武山のとはかなり異なり、見た目にも違いが明らかです。

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

竹皮一筒は6枚組にしました。

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

ちょっと黄色っぽい手漉き紙です。

■品茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

■2014年と2010年
中堅メーカーの『益木堂那卡青餅2010年』は茶葉の素質の良さが際立っていました。
2010年はかんばつで、特別な風味が宿ったのかもしれません。同メーカーは2011年、2012年、2013年と続けて那卡山のお茶を出品していますが、2010年のに及びません。

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶
左: 那カ古樹青餅2014年(このお茶)
右: 益木堂那卡青餅2010年

よく似ています。
どちらも透明ですっと入り消えてゆきます。舌に残ったシワシワ・ヒリヒリの辛味が、那卡山に吹く風のように爽やかです。
2014年は火入れ弱め。2010年は火入れ強め。
しかし、葉底(煎じた後の茶葉)や風味から見て、製茶による差はごくわずかです。茶葉の育ちのほうが風味に違いを与えているようです。
2014年はふくよかで甘い。2010年の味は淡麗。
個人の好みですが、那卡山のお茶の個性を尊重するなら、2010年の淡麗風味のほうが孟海県の他の茶山との違いをはっきり現わしているかもしれません。
2014年はまだ製造時の煙草っぽい煙味が残っていて、はじめの2煎めくらいまで邪魔をしますが、ときどきフッと蘭香に変わることがあります。2010年は煙草香も蘭香もなく、高原のハーブのようなスースーと爽やかな安息香があります。おそらく2014年のも4年経つとこのように変化するのだろうと思います。

■餅茶と晒青毛茶
圧延加工の熱や水分が風味を変えます。
その変化を見てみます。

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶
左: 那カ古樹青餅2014年(このお茶)
右: 那力山ラフ族の春茶2014年(このお茶の原料)

圧餅後は少しだけ軽発酵のすすんだ風味となります。味わい香りともにより深くなり、奥行きが増して、口に茶湯を含んだ瞬間からちょっと遅れて味や香りが感じ取れます。このちょっとの時間差がある種の印象をつくります。
ただ、当初思っていたほどは圧餅前と圧餅後の差が大きくありません。晒青毛茶の殺青の火入れが浅めのを選んでいますが、それでもこの結果なので、那卡山のお茶づくりの標準は火をしっかり入れるのだと思われます。
これは、過去に那卡山で緑茶づくりをしていたことが関係しているのかもしれません。同じように過去に緑茶づくりをしていた製茶農家つくった巴達山のお茶もまた、しっかり高温で火を入れた仕上がりになっています。
参考ページ
+【巴達古樹青餅2010年プーアル茶 その3】

■製茶の違い
他社のサンプルと比べてみました。
どちらも2014年春の晒青毛茶です。

那カ古樹青餅2014年プーアル茶
左: 那力山ラフ族の春茶2014年(このお茶の原料)
右: 那力山純料春茶2014年(他社のサンプル)

「他社のサンプル」は、サンプル用に春一番の3月中旬までにつくられているので、新芽・若葉がより細かな形状です。3月16日にひと雨降った後のこのお茶の原料は少しだけ茶葉が成長しています。
このお茶の原料はやや青黒く、他社のサンプルはやや黄色く明るい。
同じ茶山の同じ品種でのこの色の違いは、樹齢の古い古茶樹と、樹齢の若い小茶樹もしくは茶畑のお茶の違いであることが一般的です。

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶
左: 那力山ラフ族の春茶2014年(このお茶の原料)
右: 那力山純料春茶2014年(他社のサンプル)

ところが、3煎めくらいまでの味にその違いは現れません。
どちらもスッキリ透明で、滋味あり、喉越し良く、古茶樹ならではの味わいです。舌をシワシワ・ヒリヒリさせる那卡山独特の辛味はまったく同じレベルです。
他社のサンプルは見かけによらず、旨味・甘味の強い若い茶樹の味がしません。
製茶による軽発酵度の違いでもなさそうです。同じような過程を経て得られる、同じくらいの発酵度の味です。
色の違いは謎のままです。

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

このお茶の原料は煙草味が邪魔する分、他社のサンプルのほうがより透明感があるように感じます。
微かに草っぽい安息香があるのみで、香りの単調な他社のサンプル。煙草味に隠れた蘭香がゆらめくこのお茶の原料。
どちがどうかという判断の難しいところです。

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

那カ古樹青餅2014年プーアル茶

このお茶の煙草味は、殺青の「焦げ」から来ているのかと思いましたが、そうでもないようです。茶海に残る焦げの粉や、葉底(煎じた後の茶葉)に見つけられる焦げの跡は、どちらも同じくらいあります。

那カ古樹青餅2014年プーアル茶
左: 那力山ラフ族の春茶2014年(このお茶の原料)
右: 那力山純料春茶2014年(他社のサンプル)

6煎めくらいに茶湯の色に差が現れました。耐泡(煎がつづく)はこのお茶の原料のほうがあるようです。

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+【那カ古樹青餅2014年プーアル茶 その1.】


那カ古樹青餅2014年 1枚 180g
入倉につき出品保留中


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