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【オリジナルのお茶の記録】


漫撒風道青餅2015年 その2.

man sa feng dao qing bing cha

漫撒風道青餅2015年


■葉の呼吸
植物の葉は呼吸します。
葉は呼吸器を持たないので、風がそれを助けます。
多くの植物の葉は、風に揺れやすい形状です。
風と葉とお茶の味の関係。ここに注目します。
例えば、葉の多い観葉植物を育てるには、適度に風を当てると葉が茂って、ボリュームのある姿に仕立てられます。
葉と葉の間の枝が短く育つのです。

漫撒風道青餅2015年

これと似て、風の道の茶樹は比較的葉が密集しているように見えます。
丁家老寨の古茶樹は原生品種の性質が現れた大ぶりの葉と、古い根を育てるために枝の葉を落とす古式な栽培法「熟した枝」づくりのために、まるで柳の木のように枝が徒長した姿になります。ところが、風の道の数本はそうはならず、枝をピンと張って上に伸びています。
枝の間隔が短いのは、新芽・若葉の成長がややゆっくりしているからです。風の弱いところの茶樹に比べると、若葉はやや小さく育ち、厚みがあります。
葉の形状や質感は物理的に製茶を左右するので、お茶の味に関わります。
また、葉の成分構成にも違いがあります。
風に吹かれてたっぷり深呼吸をした茶葉は、新陳代謝をよくして、なんらかの成分を蓄えたり排出したりを活発に行なっていることでしょう。

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

鮮葉を一枚齧ってみると、軽快な苦味を感じます。
この苦味は香気の成分と同じはずです。香気の成分の多くが苦味を伴い、なんらかの薬効をもつことを昔の人は見つけていました。
精製された薬品に頼る現在の生活では味と薬効の関係に無関心ですが、病院も薬局も無い昔の生活では、日常の食べものや飲みものにある種の薬効成分の味を見つけるのは大事なことでした。
風の道のお茶は身体にどんな影響を与えるでしょうか。

漫撒風道青餅2015年

茶葉は風を物理的に記録しています。
風の記録をどう読み取るか。
例えば、音楽は音を聞いてはじめて味わえるのと同じように、風の記録はお茶を飲む人が味わいや身体の変化に注目することではじめて理解されるはずです。
喫茶のお茶は漢字文化圏で生まれたものです。
漢字をつかう言語がもたらす理解へのアプローチを大切にして、「風」という文字のもついろんな意味や雰囲気、いろんな場面での使い方をいまいちど考えてみましょう。「呼吸」についても同じくです。
みんなに共通したひとつの回答は得られないでしょう。文字のもつ意味の曖昧さは、ひとりひとりが自分で気付いて自分で解釈する過程を尊重していると思います。

■製茶
午前中摘みです。
お昼に持ち帰った茶葉を山小屋の軒下で萎凋します。
ゆったりした風にあてながら、少しずつ水分を蒸発させます。
ここで乾燥しすぎないよう、茶葉をちょっと厚めに積んで広げます。
また、水分が均等になるよう途中何度か集めて混ぜ合わせます。

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

殺青(鉄鍋炒り)は農家に任せずに自分でしました。
揉捻(揉む)もひとりでしました。
揉捻の後、布の袋に入れて一晩渥堆させます。丁家老寨の古いやり方です。茶葉の水分があるうちに軽発酵(微生物は関わらない茶葉の成分変化)を促します。
次の日1日で晒干(天日干し)して晒青緑茶が仕上がります。
製茶はいつものとおりに行いましたが、いつものように揉捻がしっかり緊密に捩れません。
茶摘みの前の3月18日頃にひと雨降ったせいかもしれませんが、同じ時期につくられた風のない別の斜面のお茶と比べてもやや繊維が硬いようです。これも風の道に育った茶葉の特徴と思われます。
新芽は白毫と呼ぶ白いうぶ毛が多く、全体的に白っぽく見えます。これは品種特性ですが、実生から育つ(茶の種から育つ)古茶樹なので、風の道に適応した進化があるのかもしれません。

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

4月20日に圧餅しました。
漫撒山のいつもの工房に晒青毛茶を持ち込み、一枚180g分を蒸して布でくるんで、石型で圧して上に乗ってユサユサして固めて、涼干(陰干し)・晒干(天日干し)します。
参考ページ
【古式の圧餅】

■規格
1枚180gサイズ小餅。
竹皮包1筒6枚組。

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

■品茶
同じ丁家老寨のお茶と比べてみます。
茶友部に出品した『丁家老寨青餅2015年』です。

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年

漫撒風道青餅2015年 左: 丁家老寨青餅2015年
右: 漫撒風道青餅2015年(このお茶)

『丁家老寨青餅2015年』の農地はすり鉢状の斜面に囲まれて、風は穏やかです。
環境の違いよりも品種特性の違いが色濃く現れていますが、古茶樹の品種特性の違いは環境の違いが生んだものかもしれません。山と茶樹の観察を続けて、この関係に法則があるのかどうか確かめたいと思います。

■淹れ方
キレイにつくっているので洗茶は必要ありません。
早春の生茶は、熟成期間がまだ5年も経たないうちは、1煎・2煎めくらいまでは湯の温度をちょっと下げて淹れてください。熱々の湯で茶葉が煮えてしまうと、新鮮な香りが飛んで消えます。
まずは茶葉の量を少なめに試してみてください。

■その1に戻る
+【漫撒風道青餅2015年 その1.】


漫撒風道青餅2015年 1枚 180g


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