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【オリジナルのお茶の記録】


倚邦古樹青餅2014年 その2

yi bang gu shu qing bing

倚邦古樹古樹青餅2014年プーアル茶

■圧餅

倚邦古樹青餅2014年

漫撒山の工房で、涼干(陰干し)・晒干(天日干し)で仕上げています。
蒸して固めて乾かす工程により、軽発酵(茶葉が持つ酵素成分による変化)がすすんで薫り高くなります。

■品茶
1枚180g
標準サイズ357gの約半分です。
4枚のみの出品です。
竹皮包みの一筒(6枚組)には足りませんでした。
単樹の3本か4本から採取してつくれた晒青毛茶を圧延加工しました。
5枚できたうちの1枚は当店のサンプルとして残すので、4枚の出品です。

倚邦古樹青餅2014年

倚邦古樹青餅2014年

倚邦古樹青餅2014年

倚邦古樹青餅2014年

倚邦古樹青餅2014年

小葉種なので茶葉は小さく、キメ細かい餅面の質感です。一般的な「倚邦山」のお茶よりも青黒い色をしています。

■単樹と単樹
同じく倚邦山の数本の茶樹を選んだ「単樹」でつくった他のメーカーのお茶です。
晒青毛茶なので、餅茶を崩した『倚邦古樹青餅2014年』(このお茶)とはやや形状が異なります。
また、『倚邦古樹青餅2014年』(このお茶)は圧餅によって軽発酵がすすみ、カンタンに言えばほんのわずかに紅茶っぽくなっています。

倚邦古樹青餅2014年

倚邦古樹青餅2014年
左: 倚邦古樹青餅2014年(このお茶)
右: 倚邦単樹の散茶2014年(他メーカー)

洗茶の湯(サッと湯を通しただけ)を取ってみました。
色の違いが軽発酵度の差です。
『倚邦古樹青餅2014年』(このお茶)は殺青の火入れを浅く仕上げてあり、
『倚邦単樹の散茶2014年』(他メーカー)は殺青の火入れを深く仕上げてあります。

倚邦古樹青餅2014年

餅茶になった『倚邦古樹青餅2014年』(このお茶)の茶葉は、湯にほぐれて開くのに少し時間がかかります。圧餅は製茶の「揉捻」に似た効果があり、味わい深くなり、耐泡(煎がつづく)が増します。

倚邦古樹青餅2014年
左: 倚邦古樹青餅2014年(このお茶)
右: 倚邦単樹の散茶2014年(他メーカー)

3煎めの茶湯の色はほとんど同じです。
どちらもかなり樹齢の古い古茶樹なので、透明度の高い風味は共通しています。若い茶樹の旨味成分は感じられません。
2煎めまでの『倚邦古樹青餅2014年』(このお茶)は、火入れが浅いため、やや不安定で、「煙草」っぽい香りが混ざったり、味がうまく抽出されなかったりします。火入れの深い『倚邦単樹の散茶2014年』(他メーカー)は、1煎めから安定しています。
『倚邦古樹青餅2014年』(このお茶)は3煎めから薫り高く、美味しくなります。4煎・5煎とすすむほどにさらに魅力的な風味が出てきます。その点で、『倚邦単樹の散茶2014年』(他メーカー)は単調で、煎をすすめる魅力に欠けます
『倚邦古樹青餅2014年』(このお茶)は舌の上にヒリヒリ・シワシワした刺激が残ります。これが唾液に溶けて香りとなり、息をするごとに蒸発して鼻へ抜けるので、飲み終えた後からの余韻が楽しめます。この効果のあるのは、森の中の半日陰に育ったことによるものだと推測しています。
単樹のお茶は、茶樹の育った環境を選ぶところから、お茶づくりが始まっています。

※『倚邦古樹青餅2014年』の2煎めまでの不安定は保存熟成1年めくらいで解消します。

倚邦古樹青餅2014年

倚邦古樹青餅2014年
左: 倚邦古樹青餅2014年(このお茶)
右: 倚邦単樹の散茶2014年(他メーカー)

葉底(煎じた後の茶葉)の色に注目してください。
『倚邦古樹青餅2014年』(このお茶)はやや青黒く、
『倚邦単樹の散茶2014年』(他メーカー)は黄色く明るい色です。
これも森の日照と生態環境が影響していますが、もうひとつ考えられる理由は、茶摘みの頻度です。
『倚邦単樹の散茶2014年』(他メーカー)は、過去に過剰に茶摘みされていた可能性があります。茶摘みの多い茶樹は、新しい芽を急いで出して葉を増やそうとします。その上さらに日照がよく光合成が活発になると、葉の色は明るく黄色く育ちます。このことが茶葉の成分構成に影響し、お茶の味の違いとなると思われます。
また、『倚邦古樹青餅2014年』(このお茶)は、丸い形の葉が多くあります。これは品種の違いです。小葉種は小葉種でも、丸いのや長細いのや、橙色・紫色・萌黄色などなど多種多様であり、風味にも様々な特徴が現れます。

■単樹と複樹
「複樹」とは何本もの茶樹からつくられたという意味です。
「単樹」に対して仮にそう呼ぶことにします。
一般的なお茶づくりは茶樹を選びません。山のどの辺りだとか、樹齢はどのくらいだとか、おおまかなくくりはあっても、品種や育成環境を一本一本選ぶようなことはしません。茶摘みの手が止まって生産効率が落ちるからです。
旬の期間は毎日茶摘みをして、製茶をして、次の日に晒干(天日干し)を終えた晒青毛茶を大きな袋に詰めてゆきます。1袋は10キロから20キロあります。しかし、昨日の仕上がりと今日の仕上がりは微妙に異なるはずです。茶摘みの場所、茶葉の成長、気温、湿度、製茶の火の加減などなど、様々な条件がお茶の味を左右しています。毎日の結果が異なって当然なのです。品種が混生状態の古い茶山では、ある品種は甘く、ある品種は苦いかもしれないので、ひとつの袋の中に苦い部分と甘い部分のムラができます。もちろん混ぜ合わせますが、乾燥してパリパリの茶葉が粉砕されないよう加減します。そのため、このひとつまみだけの茶葉が、はたして複数の茶樹から摘まれたものなのか、それとも一本の茶樹から摘まれたものなのか、はっきりしません。
ただ、上に紹介したように、わざわざ「単樹」を狙ってつくるのには理由があります。例えば、その茶樹が特別に古くて大きいものだとか、母樹が同じ実生育ちの数本だとか、森の中の野生化した一本だとか。特別な風味が期待できそうな理由です。
逆に言うと、複樹のはそれほど特別な理由のないものです。古茶樹は古茶樹でも森林や農地にいくらでもあり(例えば何十本から何百本もある)、その中では大差のないと思われるものです。

倚邦古樹青餅2014年

倚邦古樹青餅2014年

倚邦古樹青餅2014年

倚邦古樹青餅2014年

倚邦古樹青餅2014年
左: 倚邦古樹青餅2014年(このお茶)
右: 倚邦古樹の散茶2014年(農家)

この『倚邦古樹の散茶2014年』(農家)は上質で、上に紹介した他メーカーの単樹よりも美味しいと思いました。
殺青の火入れの浅いのが茶湯の色に現れています。
葉底の形から見て、品種も似ていると思います。
3煎めから『倚邦古樹青餅2014年』(このお茶)の香りが立ってくると差が開きます。葉底の色の違いに日照の差が現れていますが、これが理由と思われます。
『倚邦古樹の散茶2014年』(農家)の茶葉がやや大きく育っていることから、春の旬には違いなくても、3月末から4月初旬の気温が上がってきた頃のものかもしれません。
『倚邦古樹の散茶2014年』(農家)は圧餅にしてから再度比べたいと思います。

倚邦古樹青餅2014年

■餅茶と晒青毛茶
圧餅(圧延加工)による変化を確かめます。

倚邦古樹青餅2014年

倚邦古樹青餅2014年

倚邦古樹青餅2014年

倚邦古樹青餅2014年
左: 倚邦古樹青餅2014年(このお茶)
右: 倚邦古樹春の散茶2014年(このお茶の原料)

はじめの2煎めくらいまで散茶のほうの湯の色が濃く出ました。
厚餅のお茶には「揉捻」的な効果が現れます。
製茶時の「揉捻」は、茶葉を揉んで内側の成分や水分を抽出させ、その茶汁の粘着力により葉を一枚一枚捻って固めたようになります。この物理的な理由で、茶葉が湯になじんで成分が抽出されるまでにちょっと時間がかかり、湯の熱がゆっくりと茶葉に浸透してゆくことになり、お茶の味を左右します。
また、揉捻によって茶葉から抽出された成分は、軽発酵がすすみやすくなります。
石型で圧してカチカチに固めるのと同時に、茶葉からは成分が抽出されています。これを涼干(陰干し)・晒干(天日干し)するのは、製茶工程の「萎凋」に似て、軽発酵をよりすすめる効果が得られます。
散茶を圧餅することにより、生茶はもう一歩だけ青茶(烏龍茶)に近付く。「青餅」という名の由来でもあります。ちなみに「青餅」の製法は、ここ「倚邦」において明代に発明されたと推測されています。
4煎めくらいから圧餅の効果がよりはっきりと現れます。
茶色が濃く抽出され、軽発酵で醸しだされた奥行きのある風味となります。
湯の熱が通るほどに風味の変化を見せる圧餅と、単調になる散茶と、5煎・6煎とすすめるほどにその差がひらいてゆきます。

■その1.に戻る
+【倚邦古樹青餅2014年 その1.】


倚邦古樹青餅2014年 1枚 180g 終了


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