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易武春風青餅2011年プーアル茶 その3

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易武春風青餅プーアル茶

■圧餅
圧餅とは、毛茶を固形茶にする工程です。
2011年3月に収穫した茶葉ですが、それから8カ月後に圧餅することになりました。包装日付の12月1日はその完成日です。

圧餅後の乾燥は、晒干(天日干し)しようと考えていました。
2011年は4月になってから雨の日が多かったので、雨季が終わって乾季になるのを待つことにしました。
それと、圧餅の技術のことで迷うところがありました。

易武春風青餅プーアル茶

迷ったのは、風味の変化をどう抑えるかです。
圧餅が風味を変えることを、昨年の紅茶づくりで知っています。
【巴達古樹紅餅2010年紅茶 その4】
紅茶は圧餅によって風味が引き締まるのでむしろ良いのですが、その引き締め効果は今回は少ないほうが良いと考えました。

毛茶は殺青7分目の火入れによってデリケートに仕上がっています。
圧延のために毛茶を柔らかくする蒸気の熱は仕方がないとして、その後の乾燥は、熱風乾燥するよりも晒干(天日干し)したほうが温度は低いはずです。
しかし、晒干は温度が低くても、太陽光線が肌を焼くように、表面は日焼けします。毛茶をつくるときに一度晒干しているので、餅茶の表面の茶葉は二度も太陽に晒されます。この日焼けの風味も省いてみたいと考えました。

易武春風青餅プーアル茶

余談ですが、「生に仕上げたい生に仕上げたい」と、頭の中で念仏を唱えていたせいか、農家で揉捻しているときにふと、そのまま圧延したらよいじゃないか!とひらめいたことがありました。

揉捻の後の温かく湿ったままで圧延すれば、乾燥した毛葉をもう一度蒸すことにはなりません。問題は、湿ったままの茶葉では餅茶一枚の重量をそろえる計量ができないことと、円盤型になってから晒干(天日干し)したのでは、内側の茶葉は太陽光線が通らないままになることです。
もちろんこのアイデアは現実的ではありません。

※揉捻の後すぐ圧延するお茶のつくり方は、唐の時代(760年頃)の陸羽の『茶経』に書かれている「団茶」と似ています。しかし団茶は飲む前に炙られるので、生茶のプーアール茶とは風味が異なるはずです。どちらかというと焙煎の効いた烏龍茶のような風味だったと推測できます。

易武春風青餅プーアル茶

茶廠で行う熱風乾燥をいつもより低い温度でしてはどうか?
そう考えて相談してみました。しかしこれがあんがい難しいようで、いつもの茶廠では出来ず、別の茶廠を紹介してくれました。

同じく孟海県にある小さな茶廠です。
そこには使い込まれた古い石型がありました。工場長に聞くと、易武山の古い茶荘から買った石型で、1950年代より以前から使われていたそうです。
乾燥室の温度のことを相談すると、「45度以下にしましょう。そのかわり2日間です。」と言われました。

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

圧餅の職人はたった3人ですが、手際良く、あっというまに餅茶ができてゆきます。棚に並ぶと、黒くくすんだような色と繊細な茶葉が際立ち、茶廠にあった他の餅茶と比べてみても、異質な感じがひと目でわかります。
「すごい茶葉が来ているぞ」
と、茶廠の職人たちに知れ渡り、見物人が増えました。

このときはじめて気付いたのですが、「黄片」を取り除くのを忘れていました。餅面には黄色く開いた茶葉が一枚か二枚残っています。農家にいたときには、それがあまりにも少なくて気にならなかったのです。春いちばんに挑茶をすると黄片が極端に少ないのです。
もちろん品質に問題はありません。

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

乾燥室の温度は45度以下。
通常よりも10度~15度低い設定です。乾燥室に餅茶が入る前にふと思いついて、1枚引き抜き、このまま晒干してみることにしました。これで乾燥室との違いが比べられるでしょう。
晒干は紙包みをつけたままにしました。餅茶の表面の日焼けを少しでも軽くするためです。2時間ほど晒干して2時間ほど涼干(陰干し)するのをくりかえし、太陽にあたる時間を調整しました。
こまめに電子秤で重量を測ると、水分が蒸発してだんだん軽くなってゆくのがわかります。その変化が完全に止まるのに、やはり2日間かかりました。

易武春風青餅プーアル茶

仕上がってから乾燥室と晒干とを比べてみると(写真下)、若干左の餅茶の表面が赤く見えます。おそらくそれが日焼けした色です。紙包み越しの紫外線に焼かれたのでしょう。

風味の差は無いと言えます。
晒干のほうが少し野暮ったい気がしますが、それは知っているから言える程度のごくわずかな差です。

易武春風青餅プーアル茶

易武春風青餅プーアル茶

さらに10日ほど待って、落ち着いたところでしっかり品茶してみます。

■その4 品茶 (まだつづきます)
+【易武春風青餅2011年プーアル茶 その4】


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